おくりびとはいわば「葬儀屋さんの物語」で、映画の中でもいろいろな葬儀が行われています。
おくりびとたる葬儀屋さんは、そこで思わぬ光景を目の当たりにして、驚かされたりする描写が出てきます。
またおくられびとである死者の思わぬ秘密やどれだけ愛されていたかなどをおくりびとは淡々と、ときにユーモラスに描いています。
ときに悲しく、ときに切なく、またときにユーモラスな葬儀の光景を目にするおくりびとでは、いつか自分がおくられるようになったら、と考えさせられます。
おくりびとは、納棺師という死者を棺におさめるまでの仕事が描かれていて、自分が死んだらこうなるのか、と気付かされます。
ある死者は深い悲しみを、ある死者は思わぬ秘密を、ある死者は愛されながら、というさまざまな死者を
おくりびとでは葬儀の準備に見ることとなります。
実際の葬儀では、おくりびとのようにはうまくいかず、残された人々の思惑が渦をまいていたりして、いたたまれないこともあります。
葬儀の準備のシーンは、もうひとりの主人公である死者と主人公であるおくりびとの人生が交錯する瞬間でもあります。
その中で、
おくりびとがどれだけ大事に死者と接しているのかも丁寧に描写され、自分もいつか迎える死を意識せずにはいられません。
葬儀の光景は現実には非常に切なく、悲しいものですが、おくりびとの世界では当たり前のものとされ、死を前向きに受け止めるように描かれています。
葬儀の主人公である死者は自分の葬儀を観ることはできませんが、こんな風におくられたいという気分にさせられるのがおくりびとの中の葬儀です。
おくりびとでは、葬儀は厳粛に行われますが、その葬儀の準備のため、おくりびとである葬儀屋の仕事も見ることができます。
特におくりびとの中で幾度となく描かれる葬儀では、死者と生きている、残された人々の不思議な交流が描かれます。
ある意味、おくりびとで描かれている葬儀はどれも非常に切なく、おくられる死者への思いが残ります。