またおくられびとである死者の思わぬ秘密やどれだけ愛されていたかなどをおくりびとは淡々と、ときにユーモラスに描いています。
実際の葬儀では、おくりびとのようにはうまくいかず、残された人々の思惑が渦をまいていたりして、いたたまれないこともあります。
おくりびとの影の主人公は、おくられる死者かもしれませんが、その死者たちもさまざまです。
しかし物語の中で描かれている葬儀の光景は、悲しみはもちろんありますが、死者をおくる人々は満足しているように見えるのがおくりびとの世界です。
特におくりびとの中で幾度となく描かれる葬儀では、死者と生きている、残された人々の不思議な交流が描かれます。
ある意味、
おくりびとで描かれている葬儀はどれも非常に切なく、おくられる死者への思いが残ります。
その中で、おくりびとがどれだけ大事に死者と接しているのかも丁寧に描写され、自分もいつか迎える死を意識せずにはいられません。
葬儀の準備のシーンは、もうひとりの主人公である死者と主人公であるおくりびとの人生が交錯する瞬間でもあります。
おくりびとについての情報をサイトやブログ、掲示板を使って集め、おくりびととおくられびとの関係を調べてみるのもいいかもしれません。
葬儀の主人公である死者は自分の葬儀を観ることはできませんが、こんな風におくられたいという気分にさせられるのがおくりびとの中の葬儀です。
おくりびとでは、葬儀は厳粛に行われますが、その葬儀の準備のため、おくりびとである葬儀屋の仕事も見ることができます。
まさに葬儀とは人生の締めくくりだと、おくりびとの世界の中では語られ、加えて生きて見送る人々には切ない光景です。
ある死者は深い悲しみを、ある死者は思わぬ秘密を、ある死者は愛されながら、というさまざまな死者をおくりびとでは葬儀の準備に見ることとなります。
今、何気なく生きていることといつか迎える死が幾度となく交錯していくことに感動を呼び起こすのがおくりびとです。