魔王は過去に導かれの経験談です
魔王では「過去」が重大なキーワードとなっていて、その過去に起こったことにより、次々と殺人事件が起きていきます。
実は天使の顔を持つ弁護士が弟を殺され(韓国版では兄)、それが正当防衛として犯人が裁かれなかったことから、魔王としての顔を持つようになります。
魔王となってしまった主人公は、弟を殺されながらも、それを正当防衛に仕立てた関係者たちを殺害していきます。
つまり被害者遺族と加害者の強く結ばれている清算しきれない悲しい過去によって、魔王のストーリーは続きます。
一方、魔王の弟を殺してしまった刑事はその贖罪のために正義感を持ち、事件を追っていきますが、自分の過去に事件の原因があることを知りません。
まさしく過去が魔王を生み出し、復讐鬼として、魔王は殺人を重ね、過去がそれを読んでいるとも知らずに刑事は事件を追うのです。
追う刑事が持つ過去と、追われる魔王の過去が交錯し、それがドラマに深い悲しみと謎を生んでいるのです。
再愛の弟を殺され、その復讐のために魔王となってしまった主人公も悲しいですが、加害者であるがゆえに贖罪のため刑事になった主人公も悲しいものです。
魔王がなぜ弁護士を選んだのか、加害者であった少年がなんにために刑事になったのかなどを知ると魔王というドラマは深みを増します。
魔王は実質上、二人の主人公によるドラマで、もちろん主人公の一人は魔王自身ですが、もう一人の主人公が刑事です。
つまり過去がすれ違い、それがさらなる怒りと憎しみを深めていくのが魔王の悲しい姿なのです。
この二人の主人公は、まさしく過去によって操られ、運命に翻弄されているわけですが、魔王というドラマではそれをさまざまな暗喩によって表します。
韓国ではあまりに難解なドラマと言われたそうですが、カルト的なファンも多く、過去に縛られる魔王を熱心に見ていたといいます。
日本版もこうした過去に縛られ翻弄される二人の悲しい主人公から、カルト的な魔王ファンが出てくるでしょうか。
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